砂金掘り放浪記 
二十数年前 北海道の書店で一冊の書に出会いました まるで金塊でも発見したような
思いでした その名もズバリ 北海道の砂金堀り 主人公は辻秀雄氏で 生涯砂金掘り
一筋で 妻子とも文化生活とも無縁の孤高のうらやむべき人生を送った方でした
ただ辻氏は私同様 あまり読み書きが得意ではないので 北海道新聞社の方により
聞き書きということで 書を著しておりました(まるで葉隠れ)
以来私はこの本を片時も離さず(聖書のごとく) なにか砂金に関して疑問が生じると
どこかに解決のヒントは無いかと くりかえし くりかえしページをめくりました
読書百篇と申しますが この本に関しては何百篇読んだことか ほぼ暗記しました
私は以前から北海道で砂金が採れることは知っていました 実際それまでも道内の河川
を廻り 自己流で採取を試み ほとんど失敗の連続でした さっそく本を片手に辻氏に
会いに行きました 氏は快く応じてくれ 自分はもう引退したが 生涯の記念にと
持っていた砂金を見せてくれました 計スプーン3杯ほどの砂金が赤い布に包まれて
二つありました なぜ二つに分けてあるのかと聞くと 産地が違うとのこと
なぜ赤い布に包んであるのかと聞くと 落とした場合に見つけやすいから (12月6日)
道具も色々と説明していただきました 特に大事な道具は三点です
カッチャ ネコ 揺り板 前2点についてはおいおい説明していきますが 一番大切なのが
揺り板です これは砂鉄のなかから砂金を選り分けるためのものです 西洋式で言えば
ゴールドパンに相当します もちろん自分の手に合うように自作します
微妙な湾曲の違いによって 採取量が大きく変わってきます 濡らしたり乾燥したりを
繰り返しますので これによってひび割れしないような材質が必要です
最適なのはバッコ柳(正式名かどうかは不明)ですが 現在では揺り板を作れるような
大きな木は少ないようです 辻さんの最大の宝は手持ちの揺り板だそうです
砂金ではないのかと聞くと 揺り板さえあれば砂金などいくらでも採れるからだそうです
最初は適当に作り 使いながら削りなおし自分の手にピッタリくるまで数年を要します
ですから他人のものを借りて使っても 採取量は半分にもなりません
辻さんと揺り板で砂金選別の競争をしたことがあります 揺り板のなかに10粒の砂金と
砂鉄混じりの砂を入れ いかに早くすべての砂金を取り出すか
ちなみに結果は 辻さんは10粒すべてを3分以内に 私は7粒を15分くらいかけて
3粒は流してしまったようです 辻さんはかなり荒っぽくやっていたようですけどね
この作業で考えておくことは二つ 一つは比重の高いものは振動に敏感だということ
二つめは砂金は私たちが想像している以上に重いものだということ ただし作業中に
砂金に空気を付着させると 水に浮くこともありえます
要は砂金掘りは 川の周辺で砂金の寄り集まっている場所(寄せ場)を見つけること
濃縮された砂鉄のなかから いかに100パーセント砂金を取り出すかです
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